ギュスターヴ・モロー展
今年は、観劇やその他の用事で東京に出るたびに、美術展にも足を運ぶようにし、KinKiのお二人に会えない寂しさを紛らわすためと、お二人の代わりになるような美を求め、目の保養に努めてます。
もちろんお目当ては、この有名な「出現」です。
《出現》 1876年頃 油彩/カンヴァス 142×103cm Photo ©️RMN-Grand Palais / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF ギュスターヴ・ モロ一美術館蔵
耽美で背徳的という、まさに、オスカーワイルドの「サロメ」の世界観ですね。
この破滅的な美女を間近で見たくて行ったのですが、しかし、このサロメの顔、いくら近くで見ても、目、鼻、口がぼんやりとしていて、はっきりとした表情が読み取れないんですよね。
でも、実際はヨハネの首の方が亡霊でしょうから、この表現の仕方も面白いと思いました。
人物は全てわざとぼやかして、見る側の想像に委ねたのだろうと思いました。
オスカーワイルドの戯曲では、母ヘロディアが預言者ヨカナーン(ヨハネ)の首を欲するのではなく、サロメがヨカナーンに恋し、どうしても手に入れようと、舞を踊った褒美に、サロメ自身が彼の首を所望し、その切り落とされた首にキスをするという、より妖しく猟奇的な物語になってます。
なので、この絵のサロメとヨハネがお互いを見つめ合ってるとするならば、サロメの恋はある意味成就したことにもなりそうですが、何となく私には、サロメはヨハネを見つめているけど、ヨハネは誰とも目線を合わせず遠くを見ているようにもみえるので、永遠の片思いの図に感じられました。
写真だとわかりにくいですが、実物の絵では、人物がぼやかしてあるのとは対照的に、背景の柱や建物に施された文様が立体的に浮かびあがるかのように鮮明に描かれています。
西洋的というよりは、東洋であったり、中南米的な文様をたくさん取り入れたようで、そのデッサンも一緒に展示してありました。
どこの国でもない想像上の世界であり、より一層ロマンティックでファンタジーなイメージを強く感じました。
そして、このような蠱惑的な女性像とは少し違いますが、やはり妖艶に感じられる思った絵がこちら
《一角獣》 1885年頃 油彩/カンヴァス 115×90cm Photo ©️RMN-Grand Palais / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF ギュスターヴ・ モロ一美術館蔵
貞節の象徴とされ、純潔の乙女にだけは従順になるという幻の動物一角獣を描いた絵ですが、やはり、清らかさと同時に蠱惑的で、人を狂わせそうな色気を感じました。
パナソニック汐留美術館、今回初めて参りましたが、展示数はそこまで多くはありませんが、ショールームの一番上に位置し、非常に綺麗で見やすくて気に入りました。開館と同時に入ったのもあり、気に入った絵をゆっくりと見ることができて非常に良かったです。